第1話で「新人」と呼びましたが、中身は人ではありません。仕組みを一つだけ知っておくと、なぜ得意と不得意があるのかが腑に落ちます。
生成AIは、「次に来そうな言葉を当て続ける機械」です。
「いつもお世話に」と来れば「なっております」と続きやすい。「ご連絡」と来れば「ありがとうございます」。こういう「続きやすさ」を、世界中の膨大な文章から学んでいます。文章を作るときは、この当てっこを1語ずつ、何千回も繰り返しているだけです。
これだけで、3つのことが説明できます。
一つ目、文章が上手い理由。世の中の文章の形を大量に見ているので、敬語も、要約も、翻訳も、「よくある形」に整えるのが得意です。ビジネスメールの型なら、社内の誰より多く読んでいます。
二つ目、嘘をつく理由。当てているのは「続きやすい言葉」であって、「正しい言葉」ではありません。存在しない会社名でも、違う日付でも、文として自然なら平気で出てきます。事実を調べて答えているのではなく、それらしく続けているだけです。だから確かめが要る。第1話の「責任を取らない」の正体がこれです。
三つ目、頼み方で答えが変わる理由。あなたが書いた文が「前半」で、AIはその「続き」を当てます。前半が曖昧なら、続きも曖昧になる。前半に材料と条件が入っていれば、続きも具体的になる。「休みの案内を書いて」と「夏期休暇の案内。8月13日から16日まで休業。緊急は夜間窓口へ。取引先向け、200字」では、後半の質がまるで違います。
「賢い」とも「馬鹿」とも思わないでください。ものすごく読んでいて、ものすごく速く、続きを当てる機械。それだけです。それだけのものが、使い方次第で仕事を大きく変えます。