第2話の「続きを当てる機械」から、得意と不得意がそのまま出てきます。一言でいえば、「形を整える」ことは得意で、「事実を知っている」ことと「判断する」ことは苦手です。
得意なのは、文章を直す(敬語、誤字、言い回し)、長い文を短くする(要約)、言葉を変える(翻訳、言い換え)、仕分ける(この伝言はクレームか問い合わせか)、下書きを作る(お詫び、報告、案内)、たたき台を出す(案を10個)、説明する(用語、仕組み)。どれも「よくある形に整える」仕事です。ここは人より速く、たいてい人より上手い。
任せてはいけないのは、事実(今日の日付、あのお客様の電話番号、契約の内容。知っているふりをするだけです)、数える・計算する(できるが、必ず検算)、判断する(補償の対象か、このお客様に何と言うか)、責任を伴う行為(送る、断る、約束する)、覚えておくこと(前回の話は消えています)。
これを当社の言葉にすると、「応対は人、それ以外はAIへ」になります。電話の相手に何を言うかを決めるのは人です。その電話の前の下ごしらえ——お客様の資料の要約、想定問答、用語の確認——と、電話の後の片付け——伝言メモの整形、報告文の下書き、種別の集計——はAIに渡せる。応対そのものは、創業から45年以上、人がやってきた通り、これからも人がやります。
ここで一つ注意があります。得意なことを頼んでも、出てきたものには「事実」が混ざります。伝言メモを整えさせれば、そこには相手の社名や折り返し番号が入っている。整形は正しくても、社名の一字が変わっていれば事故です。だから確かめるのは、苦手なことを頼んだときだけではなく、毎回です。第1話の「新人の仕事は上司が見る」は、ここに効いてきます。